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2008年6月30日 (月)

『狼たちの午後』070330。。

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これが俺の中での、アル・パチーノの最高傑作──
『ゴッド・ファーザー』や『セント・オブ・ウーマン』も、どれも順位なんてつけられない傑作ばかりだけれど、あえて一番心に残るほどの彼の役者としての魅力を感じたのはというと、この作品になってしまう。
もちろん、作品を観た時期や順番も、かなり影響してるだろうけど……

これは、その『ゴッド・ファーザーPART II』の後に公開された作品。
あれだけ強烈なマフィアのボスのイメージで世界を圧倒した後の、このどこにでもいそうな一青年の繊細な演技は、同じ人間が演じてるとは思えないほど。
英語が多少解る人ならば気づくと思うが、喋り方もまったく違ってる。

実際に起こった事件を下敷きにしているけれど、パチーノは、この役に関してはあえて本人を研究しなかったという。再現映画ではなく、オリジナルのキャラクターにしたかったんだろう。
一説には、強盗に入った銀行内での人質たちとのやりとりは、ほとんどがアドリブでやったということらしいが、俺個人的には、あの『十二人の怒れる男』のシドニー・ルメット監督がそこまでやるとは思えない。
きっと、いくつかのシーンにアドリブを採用して、噂が大きくなったんだろうと思ってる。

この映画の中で起こる銀行強盗の様子を見てしまうと、他の映画のそれらがまるで作り物のお芝居に思えてしまうほど、パチーノを始めとするすべての役者たちが素晴らしい仕事をしていることが解る。
そして、物語が進むにつれて、次第と犯人である男たちに「出来ることなら捕まらないで欲しい……」という、応援というよりもむしろ同情のような感情が生まれて来るのに気づくはず。
相棒役のジョン・カザール(『ゴッド・ファーザー』からの共演相手で、メリル・ストリープの夫です。でも、42歳で亡くなっちゃいました)も、相変わらずの個性的な演技で魅せてくれる。

アクション満載でもなければ、推理小説のような謎解きもない──
でも、きっと、観終わったあとに、何とも言えない不思議な気持ちになる──そんな映画です。

レビューを読んでると、結構、賛否両論あるみたいだけれど、その否定派の人たちの気持ちも決して解らないこともない。
つまり、パチーノ演じる青年に少しでも共感するところが見つからなければ、その人にとっては無駄な2時間になるだろうから──

犯人たちも犯人としてではなく、人質の人たちも人質としてではなく、皆んな、一人一人が人間なんだと思って観ることが、この映画を最も楽しめる方法じゃないかと、俺は思います。

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