『パフューム』-ある人殺しの物語-070910。。
これは──もしかすると……世界に向けてのメッセージなのだろうか?……
競い合うこと──争い合うことしか知らない──世界に向けての、暗黙のメッセージなのだろうか?……
ただのサスペンスではないことは──映画を観ていれば解る……
そこにあるのは──けっして、殺人鬼に対しての恐怖なんかではなく──
いったい彼が何を求めているのか?──という、疑問なんだ……
あのセンスの悪い予告編のせいで──すっかり、下らないイメージをつけられてしまったこの映画……
俺は──きっと、そんなものじゃないと信じて、真っ白な気持ちで向かい合ってみた……
でも……やっぱり、あの予告編の映像が邪魔をする……あの何百人もの裸の映像が……
宣伝担当者に、罰金を払わせたいくらい──俺は、あの予告編が大嫌いなんだっ──
あんな映像を主張する作品を、世界のスピルバーグやスコセッシが、映画化の権利を争奪するわけがないっ……
上手いっ……主役の、人並みはずれた嗅覚を持つ天才を演じるベン・ウィショーの、音のない言葉が──その瞳から伝わって来るほど──上手いっ──
共演のダスティン・ホフマンが、絶賛した理由が解るっ──
演出も──撮影も──すべてが、超一流の映像美だと、認めざるを得ない──だけど……
何故か……何かが足りない気がして仕方がない……
何んなんだろう?……一生懸命、考えてみた──
でも──いまだに答は出て来ない……
唯一、可能性があるとすれば……もしかしたら、俺の想像力の足りなさなのかも知れない……
俺も、一応──仕事柄、精油(アロマオイル)の勉強はした──
でも……いくらフィクションとは言え──あれだけ瞬間的に、人の感覚を狂わせてしまうほどの香料が──存在し得るのかどうか?……その疑問が、この映画を理解しようとする俺の気持ちを、邪魔しているようで……
確かに──人々は、目覚めた後に、二日酔いのような頭痛を感じたとは、解説がある──けれど……
香りというのは──あくまでも、眼に見えない小さな粒子が、風に乗って人々の嗅覚を刺激するもの……
一度に、四方八方というのは──あまりにも、物理的に飛躍し過ぎている……
きっと──そこを、もっとクリアにしてくれていれば──もっともっと説得力のある作品になり得たんだろう……
CGを使ってもいい……今なら、どんな不思議な映像も、可能なのだから……
でも……
そんな基本的なツッコミは──映画の良さを半減させてしまうから──あえて、無視することにして……
作品そのものの持つ、魅力を──見つめ直してみたい……
きっと、その価値があるはずの映画なのだろうから……
ネタバレにならないように、気をつけて書かなければいけないけれど……
すべての人間を陶酔させてしまう──究極の香水を創り出してしまった彼が──それを手に、ただ独り……生まれ故郷のパリへと向かう……その後ろ姿を見つめながら、俺は、悲しかった……
解説の通り──それだけの力を持つ香水を持ってすれば──母国制覇どころか、世界制覇も、夢なんかじゃない……
なのに……彼には──そんなことへの興味など、まったく感じられない……
彼が、欲しかったものは──いったい何んなのか?──それを考えたとき……何故か、悲しさがこみ上げて来てしまったんだ……
彼が、本当に欲しかったもの……
映画の中では──香水を創り出して、自らの存在を人々に知らしめてやりたい──そんな解説がされていたけれど……
本当は……そんなことなんかじゃないんじゃないだろうか?……そう、俺は、思った……
もしも……
もしも、俺が、彼だったら……
きっと……誰れかに、そっと、抱きしめてもらいたい……愛してもらいたい……優しく、名前を呼んでもらいたい……
そんな風に思いながら──香水づくりに没頭し……そのために殺人まで犯し……生き続けて来たんじゃないだろうか?──って……
そんな……叶わぬ夢を……必死で押し殺すために……忘れようとするために……
誰れかが、彼のことを……心から抱きしめてあげることが出来ていたら……
もしかしたら……こんな殺人鬼は、生まれなかったのかも知れない……
美しい娘たちの命を奪い続け……その家族を悲しめ続け……その果てに出来上がった香水──
その香水の持つ力が──人々を楽園にいるかのような快楽に導くこと……
何んて皮肉な物語なんだろう?……
まるで──世界平和を唱えながら、殺し合いを続けている、今の世の中のように……
こんな香水が、本当に、この世に存在したなら──もしかしたら、世界中から争いごとが、なくなってくれるのだろうか?
世界中の人々が、愛し合い……手をつなぎ、抱きしめ合えるのだろうか?……
きっと……無理なんだろうね……
まず──誰れかが、その香水を独占しようとし……
そして──誰れかが、それを奪おうとする……同じことの繰り返し……
だからこそ……彼は、最後に……あの道を選んだんだろう……
そう思えてしょうがない……その気持ちが、解るような気がして……しょうがない……
この映画も、★をいくつつければいいのか……解らない作品です……
また……皆さんが、それぞれの思いで──評価してあげて下さい……(o^~^o)
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